こんにちは。
今回は、広東語の方言とベトナム語についての記事です。
各国語の「日本」の発音
中国語の「日本」の発音
このブログを読んでくださっている方々は、中国語学習者の方が多いかと思いますが、中国語で「日本」をどう発音するか、ご存知ですよね。
そうです。「日本 ri4 ben3」です。声調の調値で表せば「ri51 ben214」となります。
なぜ中国語では"r"から始まり、日本語では"n"から始まるのか?
ところで、中国語を学んでいて、不思議に思ったことはありませんか?
「日本」は日本語の発音だと「ニホン/ニッポン」なのに、なぜ中国語だと"r"の発音なのか?と。
ただでさえ、"r"は慣れない発音で、「日本人」など発音できる気がしない、勘弁してくれ、と思っていました。
ベトナム語の「日本」の発音
一方、ベトナム語で「日本」はどのように言うのでしょうか。
答えは、"Nhật21 Bản313"です。
どうでしょう。若干日本語の発音に近づいた気がしませんか?
この単語が「日本」をベトナム語読みしたことは感じ取れるかと思いますが、今の中国語と発音がかけ離れてしまっていますよね。
なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか。
中古中国語の発音を残す方言や外国語
広東語方言に残る中古音
その答えは、方言を知ることで解決できるかもしれません。
例えば、広東語はどうでしょうか。
広東語の標準とされている広州方言では、「日本 yat2 bun35」と言います。
どうでしょうか。ベトナム語の発音に似ていますね。
さらに、広州からベトナムの方角である西に目を向けてみましょう。
図のようにまとめてみました。
どうでしょうか。広州から西に位置する広西チワン族自治区の方言では、「日」に当たる発音が一部を除いて"nhat"となっています。ベトナム語とそっくりですね。
なぜ、このようなことが起きるのかというと、その昔、「日」は「nh」から始まる音で発音されていました。
日本語でも「日」は「ニチ」と発音しますね。これはその時代の発音を反映しています。
そして、広西の方言でもその時代の発音が残されているのです。
そう思うと、広東語やベトナム語にも親近感が湧いてくる気がしませんか?
声調の変遷
さらに、"本 bun"の発音ですが、声調の調値をご覧ください。
広州では"bun35"、梧州でも"bun35"ですが、西に行くにつれて声調が低くなっていっていることに気づきます。
北海や欽州では、"bun13"となり、よりベトナム語の発音に近くなっていってますね。
言語形態が違うベトナム語ですが、より中国語に近い音で語彙を取り入れていることが分かります。