こんにちは。
今回は、多くの人が憧れるであろう、多言語話者についてご紹介します。
モノリンガルとマルチリンガル
マルチリンガルの人って憧れませんか?
こと日本においては、ほとんどの人が日本語しか話せない中、例えば日本語も英語もフランス語も話せるという人は稀で、時に羨望の的になったりします。
日本は、圧倒的に「モノリンガル」が多い社会です。
「モノリンガル」とは、一つの言語しか話せない人を指します。
対して、複数の言語を操る人のことを「マルチリンガル」と言います。
そのうち、2つの言語を操る人のことを「バイリンガル」、3つの言語を操る人を「トリリンガル」と言います。
マルチリンガルの人は世界にどれだけいるのか
ではそんなマルチリンガルの人は、世界にどのくらいいるのでしょうか。
日本ではモノリンガルが圧倒的に多いですよね。
実は、世界ではマルチリンガルの人が多数を占めます。
では、どのくらいいるのかというと、下の表をご覧ください。
およそ60%が、マルチリンガルの人ということがわかります。
日本では圧倒的多数を占めるモノリンガルは、世界では少数派なのです。
マルチリンガルの定義とは
ここで問題になるのは、どの程度の言語能力があればマルチリンガルと認められるのか、ということです。
実は、その定義は非常に曖昧だということです。
複数の言語の理解力が高く、母語として理解できる人はもちろんですが、一方の言語が母語ほどの理解度がなくてもマルチリンガルとしてカウントする場合もあります。
マルチリンガルの例
では、本当に世界の人々はマルチリンガルなのか?ということを見てみます。
中国の例で見てみましょう。
「方言+標準語」
中国は、ご存知の通り中国語(漢語)が公用語の国です。
現在は、普通話(標準語)の教育も進み、国民の多くが普通話を話せるようになっています。
しかし、彼らの母語が普通話というわけではありません。中国語には、多くの方言があります。中国語の方言は、それぞれの差異が大きく、文法や語彙、音韻構造、声調の数等も全く異なります。政治的な要因で「方言」としていますが、事実上全く異なる言語と見ても過言ではありません。
それらの方言話者の母語は、それぞれの方言になります。広東省でしたら広東語、福建省でしたら閩語、上海でしたら上海語、というようなイメージです。
彼らは「方言+標準語」という言語をベースに持っていますので、バイリンガルということができそうです。
「民族言語+地域共通語+学校教育言語」
では、今度は少し西に目を向けてみましょう。
中国の新疆ウイグル自治区には、たくさんの民族が住んでいることはご存知かと思います。実は、彼らの多くは多言語話者です。
例えば、新疆に住むカザフ族を例にしてみましょう。
カザフ族は、カザフスタンと中国新疆に多く住むテュルク系の民族です。
彼らの母語は、カザフ語です。
そして、彼らの住む新疆ウイグル自治区では、ウイグル語が地域共通語として使われています。というわけで、彼らはウイグル語も理解することができます。
そして、学校では中国語の普通話を習います。学校では中国語で話しますので、一般的な意思疎通は問題なくこなすことができるようになります。
こうして、彼らはカザフ語・ウイグル語・中国語の3言語を自然に習得することになり、トリリンガルとなっている人が多くいます。
これに加えて、英語を勉強すれば、英語も扱えるようになり、母語に比較的近い語族のトルコ語を勉強する人も多く、トルコ語も扱えるようになる人が多いです。
また、地理的にロシアの影響も強いため、ロシア語を勉強する人も多い印象です。
というわけで、彼らの多くは、4言語以上を扱える様になるのです。
まとめ
日本ではあまり意識しませんが、世界ではマルチリンガルがむしろ多数派だということは、外国語学習者にとっては興味深いテーマかと思います。
上にも挙げたように、どのレベルを持ってマルチリンガルとするかは、曖昧なのが現状です。
ということは、ある程度外国語のレベルがある人は、マルチリンガルに含まれる可能性もあります。
マルチリンガルに憧れる人が多い中、自分がマルチリンガルになっている、もしくはなれる可能性が大きいと認識することは、学習する上でのモチベーションにもなるかもしれません。