ちゃいぺるブログ

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香港の沙田はなぜ「Sha」と表記され、金山はなぜ「Shan」と表記されるのか?【香港におけるローマ字表記】

こんにちは。

今回は、広東語についての記事です。

 

香港の地名表記

突然ですが、香港に「金山」という場所があります。

「かなやま」でも「キンザン」でもありません。

広東語読みでは、「Gam1 Saan1」と読みます。

では、英語ではどう表記するでしょうか。

英語では、「Kam Shan」と表記します。

ここで不思議に思うのが、「山 Shan」の表記です。広東語では、「Saan」と読むのに、なぜ英語では「Shan」と書くのか、ということです。

他にもあります。

香港の地名である「沙田」ですが、英語では「Sha Tin」と表記されます。

広東語では、「Sa1 Tin4」と発音するので、これも発音との乖離があります。

 

発音の歴史的変化

この表記には、広東語の歴史的変化が関係しています。

遅くとも20世紀初めまでは、「S」と「Sh」が区別されていました。

例えば、現在では「三」と「山」がそれぞれ「Saam1」と「Saan1」と発音されますが、20世紀初めまでは「Saam1」、「Shaan1」と発音が区別されていたようです。

そして、香港のローマ字表記法は、1888年に記述されたローマ字の標準的な表記法を採用しているらしく、今では消失した発音の区別が表記に残されています。

 

区別がなくなった発音は、「s」と「sh」だけではありません。

「ts」と「ch」、「z」と「j」も区別がなくなりました。

上記のことを鑑みながら地図を見てみると、そこかしこに表記の区別が残されていることがわかります。

 

これらのことがわかると、広東語もより深く理解できるような気がします。