こんにちは。
言語によって動詞の使い方が違う、ということは多くの方に知られているかと思います。
特に、中国語においては、漢字を使う為、日本語で使われている漢字をそのまま中国語に流用することが、日本人における中国語の誤用に多いかと思います。
中国では薬を食べる?
日本語では、「薬を飲む」と言いますが、
中国語では、「吃药」(薬を食べる)と言います。
私も、吃药という単語を知るまでは、「喝药」と言ってしまっていました…
中国語の日本語における「飲」
日本語の「飲」
単語(多義動詞)には、基本義と呼ばれるその単語の核となる意味があり、そこから様々な意味が派生されています。
日本語の「飲む」においては、「液体・水を喉に流し込む」が基本義(中心的な意味)です。
そこから、「噛まずに喉に流し込む」という意味が固形物にも使われるようになり、「飲む」の意味が拡大したと見ることができます。
中国語の「飲」
中国語の「飲」の基本義は、日本語と同じように、「液体・水を喉に流し込む」です。
中国語においては、そこから、酒を飲む・感情が表面化することを抑える・銃口を口の中に入れる、と意味が派生しました。
「銃口を口の中に入れる」ことを固形物を口の中に入れることと捉えることもできますが、この意味においては、銃口を口の中に入れて命を絶つことを意味していますので、日本語の「薬を飲む」とは違う意味とみることができます。
日本語の「のむ」について
これまで見てきたように、日本語の「飲む」には、「固形物を噛まずに喉に流し込む」という意味がありますが、中国語の「飲」ではその意味で派生しませんでした。
なぜこのような違いが生まれたのでしょうか。
ここからは、完全に憶測になります。
日本語の「飲む」は、ご覧の通り、和語になります。日本語の場合、和語「のむ」に漢字を当てはめたと思われますので、「飲」という漢字というよりも、「のむ」という語自体に意味が派生したのではないでしょうか。
「飲む」というのは、「呑む」とも変換できます。こと固形物に関しては、「呑む」の方がしっくり来るような気もします。
そして、中国語でも「呑」という漢字を使えば、「吞药」と言うこともできます。
中国語を学習する上では、派生語の使い方なども意識して学習してみると良いかもしれません。