こんにちは。
今回は、筆者が海外旅行中に出会った青年の話をします。
筆者は、旅行が趣味で、コロナ前には、ほぼ毎年どこかに旅行に出かけていました。
特に海外旅行は好きで、訪れた国は多くないものの、なるべくいろんな場所にいくようにしていました。
6年ほど前(もう6年も経ったことに複雑な気持ちはあるけれど…)、筆者はヨルダンに旅行に行きました。
2週間ほどでヨルダンを縦断していくような旅で、首都アンマンからスタートし、途中モザイクの街マダバや、死海、インディ・ジョーンズやトランスフォーマーのロケ地にもなった世界遺産のペトラ遺跡などを巡りました。
ヨルダンは観光地に恵まれた国で、とても充実した旅行になりました。
ヨルダンの南端まで行った後、アンマンに戻り、数日ほどのんびりとしていました。
アンマンの郊外まで遊びに行って、市街まで戻るバスの中で、その青年と出会いました。
青年は、バスで筆者の隣に座り、筆者がアジア人だと気づくやいなや、興味津々でいろいろ話しかけてくれました。
最初は、少しうっとおしいな、と思いましたが、アラビア語と拙い英語で一生懸命コミュニケーションを取ってくれる彼の姿を見て、筆者も彼と話すのがとても楽しく感じられました。
彼は、いろんなことを質問してくれました。
ヨルダンにはどのくらいいるのか?
ペトラには行ったのか?
アンマンは居心地が良いか?
アラビア語はどのくらいできるのか?
日本人はどのように考えるのか?
日本からはどのくらい時間がかかるのか?
などなど…
今思えば、なんてことない会話だったと思いますが、当時の彼の一生懸命さが強く印象に残っています。
しばらく話した後、筆者は彼にこう尋ねました。
「このバスで今からどこにいくの?」
すると、彼がこう言いました。
「癌センターから帰宅する途中なんだ」
「そうなんだ。身体が良くないの?」
「そうだね。あまり良くないよ。もしかしたらもう長くないかも。
でも、怖くないんだ。何故なら僕は幸せだから。
僕には両親もいる。兄妹もたくさんいる。
何より僕には神様がついている。神様が守ってくれるんだ。
それに、君のような日本人にも出会えた。僕の知らない世界について知ることができた。
僕は幸せだよ。ガンにだって負けないよ。」
筆者は、彼の名前も知りません。もしかしたら出会ったとき名乗ってくれたかもしれませんが、思い出せません。
でも、彼との会話内容や当時の彼の一生懸命さは、6年経った今でも思い出すことができます。
彼は筆者と同い年で、彼との出会いを通して、筆者の世界の見方が少しだけ変わった気がしました。